『 二色のワイン 』








好きなのは赤、白、それとも・・混じりあうピンク色?




「・・ツナってさ、ここん中もピンクだよなー」
「あっ・・ディーノさん、どこ触って・・」

 ディーノさんの太い指がぐりぐりと俺の内側を
かき回す。性器の付け根を舐められた瞬間、俺は
差し入れをワインにしたことを死ぬほど後悔した。

「・・どれどれ坊主、ちょっと見せてみろよ」
「ちょっと、ドクターまで・・!」

 三人が鉢合わせたのはたまたまだった。
キャバッローネの陣中見舞い(そのときディーノさんは
他のマフィアとの抗争真っ最中だった)にと思い
高級ワインを二本持参して本部の1番奥の扉を
ノックしたまではよかった。
 俺をこころよく迎え入れた彼の後ろに、ちょうど
銃創関連の相談を受けていたという闇医者の影を見つけるまでは。

 俺の差し入れで乾杯を上げた二人は、すぐにべろべろになって
(そんなに弱いとも思えなかったけれど)
箍のはずれた獣のように、二人して俺に圧し掛かってきたのだ。

『お礼に診てやるよ、坊主。脱いでみな』
『・・遠慮します、俺いまのところ健康ですから』
『せっかくだから診てもらえよ、口は悪いけど腕は確かだからな』
『・・ディーノさんも冗談はほどほどに――わっ!』

 そんな感じで身包みをはがされた。大体大人二人に
ちっとも身長の伸びない俺一人では明らかに不利なんだ。
 それによってたかってボタンを外したり、ズボンを下ろすのも
どうかと思う――どうしてそんなに二人とも・・楽しそうなの?

「やっ・・あ、ディーノさん・・俺ほんとそんな・・つもりじゃ」
 いたずらに指でかき回されて、立ち上がった俺の分身にキスをすると
ディーノさんは
「俺はいつでもツナが来てくれたときは準備万端だけど」
 と微笑んだ。王子様みたいな声にいつも、騙されてしまう。
「大人はいつでも用意周到にしとかねーとな・・肝心なときに
ご婦人に逃げられてしまう」
 闇医者ランキングで、暗殺とナンパ成功率ナンバーワンを誇る
男がワインの栓を抜いて、俺の後方に押し当てた。その髭面が
にやりと笑った瞬間、嫌な予感が背筋を駆け抜けた。

「下の口で飲んでみるか、坊主?」
「・・い、いいです。遠慮しときます」
「けっこう美味そうだぜツナ?ちょっと飲んでみろよ」
「ディーノさん、やめ・・んっ・・あ」

 彼の指よりもはるかに細い瓶の先が俺の内側に入って
赤い液体がどくどくと注ぎ込まれていく感触に俺は喘いだ。
 体が火照って、壊れてしまいそうだった。
「・・や・・っんぁ・・だめっ・・ディーノさん!」
 俺が叫ぶと液体の流れは止まったけれど、取り出された筒の
代わりに今度はもっと熱くて固いものが押し込まれて俺は
その正体に絶句した。

「ツナの方が美味しそうだから、このまま食っていい?」
 赤黒く既に準備万端なディーノさんがぐいぐいと腰を
押し付けてくる。痛くて固くて壊れてしまいそうなのに
直腸から吸収されたアルコールが浸透して俺の理性を
奪っていく。
「ん・・っ、ディーノさん・・熱い・・あっ――もう」
――溶けちゃい、そう。
 侵されていく感触に腰を浮かすと、今度は俺の顎を
持ち上げたドクターがもうひとつのワインを喉に押し込んだ。
「・・美味いだろ。もっと美味いもの、飲ませてやるからな・・?」
 そう言って口から離された瓶の先の代わりに、喉を占領したのは
何もかも用意の整ったそそり立ったドクターの、一部。

 二人に攻められたり、押し込まれたりしながら俺は・・今度は
食べ物は絶対にやめてこの部屋を彩る花を差し入れにしよう、と思った。
 訪れるたび差し入れと一緒に食べられてしまうようでは、俺の体が
もたなかった。