背徳の夕餉
「旦那様・・デザートは何にいたしましょう?」
摘みたての葡萄と弾けるようなオレンジ、色とりどりのフルーツに。
苺と桃のジャラートにチョコレートで線を描いたドルチェにミントの葉を添えて。
真っ白なプレートを両手に乗せたメイドが尋ねると
金色の眼と髪を持つ主人は、開口一番こう言った。
「ツナでいいよ」
爆弾のような一言に思わず皿を落としそうになった彼の背後に立つと
ディーノはゆっくりと二つの皿をテーブルの端に載せた。
その動作に声なき声を上げたツナの腰を、深紅のテーブルクロスに押し付ける。
濃紺のスカートを、真っ白なエプロンを片手で捲り上げると
真っ白な大腿があらわになった。
「いけません、旦那様・・!」
ツナの悲鳴のような声を意に介することもなく、彼は左手でツナの身体を食卓に押し付け
右手で彼の臀部を形どるようになぞり上げた。
昨夜を思わせるような彼の手つきに、わなわなと腰を揺らしたツナは
脱力してテーブルの端にもたれ掛かった。
彼の大きな手が、双丘の間を掠めたり、大腿を膝からなぞり上げたりするだけで
華奢なツナの体は小刻みに震え、その小さな手は千切れそうなくらいテーブルクロスを掴んだ。
内緒で潜り込んだ主人の部屋で、散々開発された身体は既に
彼の愛撫の虜になっていた。
「ツナ・・もう濡れてる」
笑みを含んだ声に、後ろから先端を掴まれ、ツナの背筋は跳ね上がるように仰け反った。
昨日の余韻を煽る様な刺激に我慢できない蜜が、じんわりとスカートを汚していく。
やらしいなー、と耳元で囁いたディーノに、首を曲げて振り向いたツナは
今にも零れ落ちそうな涙を瞳に湛えて懇願した。
「旦那様・・もう、我慢が・・」
喘ぎながら吐いた息は既に湿っていた。
ディーノは熟したチェリーのような唇を啄ばむと、舌を絡ませてから囁いた。
「――何が欲しい?ツナ」
今日はツナの欲しいものをあげるよ、と彼は言うと溶けたジェラートを人差し指で掬い取り
僅かに収縮を繰り返すツナの後方に指しいれ、内部をかき回した。
入れられた瞬間から溶けるジェラートの冷たさと、傍若無人に動き回る悪戯な指の動き
に、ツナは喉に留めていた喘ぎを机に突っ伏して漏らした。
「や、・・っあぁ・・ん――!」
「これがいいのかな?」
ディーノは机にもたれたツナの臀部をあらわにすると
抜き差しを繰り返していた指を引き抜き、皮をむいたバナナをその入り口に押し当てた。
卑猥な音を立てて、内部に入り込む柔らかい異物に、ツナは悲鳴を上げて腰を揺らした。
挿入の勢いだけで潰れたバナナが、一緒の入り込んだディーノの人差し指と混ざりあい
甘く色づいた内部を犯していく。
「や、だ・・ダメですっ・・旦那様!」
「こうしてる時は名前で呼ばないとダメだよ?」
ベッドの中で交わした約束を告げると、ディーノは指先をくの字に折り曲げ
彼の一番いい場所をこりこりと押し上げた。
腰に直接響く強烈な感覚に、危うく弾けそうになったツナの先端を握り締めると
彼は達しきれない熱に眉を歪めた彼にキスをした。
「――っ、ディーノ様を・・下さ・・い」
羞恥と快楽にうなされた頭を机に擦りつけながら、ツナは主人を見上げて懇願した。
溶けたジェラートとバナナが絡みつく指は、既に二本に増えていた。
悪戯に熱を煽られるより、早く彼の熱い杭で果てたい――どんなに淫靡と言われようとも
彼に愛されることだけを教え込まれた身体に他の選択肢は無かった。
ディーノは後方を散々侵した指を引き抜くと
限界まで立ち上がった自身をツナの後方に押し当てた。
ツナが息を吐いた瞬間、先端から根元まで一度に突き上げ
彼は深く差し込んだ己の熱を確かめるかのように腰を揺らした。
右手で握り締めたツナの先端は、既にはちきれそうになっていた。
「あぁ・・ディーノ様っ・・!」
熱い波が押し寄せ、ツナは我を忘れて細い腰を揺らした
深紅のクロスを乱して、髪を振り乱す彼の後姿は恥らいよりはむしろ、悦んでいるように見える。
ディーノはぎりぎりまで繋ぎとめていた理性の箍を外し、両手でツナの腰を支えると
幾度と無く包み込むように絡みつく繊細な襞を追い上げた。
豪華な夕食の並ぶ食卓に木霊する、切なさに艶を重ねた掠れ声が・・
彼のとっては最高のデザートだった。