「ディーノさん・・あ、苦し・・っ」
 ツナの後方には、ディーノのごつごつとした
指が二本、第二関節くらいまで収まっていた。
 ツナの内壁を傷つけないよう、慎重に指を動かし
彼は、荒く息づくそこを広げる。


 こそぐったいような、そしてこじ開けられるような異物感と
違和感。優しくされていることは分かっているものの、ツナは
彼の動作に恐怖を感じていた。

 先ほどの高ぶりとはもっと深い場所に火がつき、内側から
侵されている――ツナは身体の奥から湧き上がる熱で、思考回路まで
溶けかけていた。


「ここ慣らしとかないと・・あとで苦しいからな」
「あっ・・やぁ・っ・・ん」
 ディーノの労うような声も、未知の刺激に怯えるツナの
声にかき消される。
  彼は自分の指だけで、格段の反応を見せるツナの身体に
薄く笑みを零した。
 生娘のような反応も、まだ幼さの残る華奢な体も
開発すればするほど興奮を呼ぶ内部も、すべて予想
以上だった。

   誰だってこんな甘い声で鳴かれ、切ない調子で名を
呼ばれれば自分だけのものにしたくなる。まして眼に
入れても痛くないような可愛い弟なら、なおさらだ。


 参ったな・・、とディーノはツナの髪を梳きながら
思った。


――イタリアに帰りたくなくなる。


 自分が日本を離れている間、誰がツナにちょっかいをかけるか
彼にもすぐ予想がついた。あの生意気なスモーキンボムを
筆頭にツナの友達、ランキング情報屋、中小マフィアの
ヒットマンさえツナの家に入り浸っているという。


 そしてディーノが最も警戒しているのは
実は彼が信頼を置いている、元・家庭教師だった。

 彼自身は否定しているが、ディーノの眼から見ても
リボーンのツナに対する扱いは別格だった。
 スパルタ教師で、取る弟子も選ぶリボーンが
わざわざ家にまで住み着いて個人授業をするとは
前代未聞だったのだ。

 彼がツナを身の回りにおいておきたくなる気持ちは
ディーノも日本に来て、よく分かった。
素直で単純で、純粋で面倒見が良く、お人よし
――なのにふと意外な色香を漂わせ、自分をどきっとさせる意外性。
可愛いらしい外見とは逆に豪快な一面もあり、見ていて飽きがなかった。

 ちょっと自分に自信がないところ以外は、部下から信頼を
勝ち得るボスの条件として――資質は十分だった。


 でも、それとこれとは話は別だった。今、自分は念願叶って
ツナと身体を重ねている。その柔らかい襞を、汗ばんだ身体を
涙に滲む掠れた声を――知れば知るほど、こんなツナの姿を
誰にも見せたくなくないし、誰かに渡すつもりさえディーノには ない。


――いっそ・・イタリアに連れ帰ってしまおうか・・


 そう本気で思いかけて、彼が根元まで入った二本の指を
旋回させると、ツナが喉を抜けるような甲高い声を上げ、
細い腰を震わせた。
――盛りを迎えた、猫のような声だった。