夢のように淡い――許しを請う響きも含んだ
ディーノの言葉に、ツナはそっと眼を開けた。
眼の前にあるのは、切なくも美しい蒼い瞳と
影のさした表情――愛を希う彼は今にも消えてしまい
そうくらい・・儚かった。
「ディーノさ・・俺も・・」
愛しているなんて、とても言えなかったが
ツナはディーノの言葉に呼応するように、彼の広い背中を
きゅ、と抱きしめた。
それがツナの彼に対する精一杯の答え、だった。
ディーノは汗の滲んだツナの額に、触れるだけのキスを落とすと
もう一度ツナの下肢を広げ、猛った自身を入り口に押し当てる。
「ん・・ふっ、――あぁ・・」
先端が入り込む異物感に一瞬顔をしかめたものの
ツナがふぅ、と息を吐くと前よりは随分楽に彼のそれは
入り込んだ。
「――ツナ・・きついか?」
「・・ん、ちょっと。でも・・」
ツナは瞳を閉じて、少しずつしかし着実に侵入する
ディーノ自身を迎え入れた。触れあう襞と、彼自身の
熱さが妙なむず痒さと、切なさを生んだ。
自分を抱きしめるディーノの表情は見えない
――が、彼は確実に此処に在る。
入り口の裂けそうな痛みも、そこから湧き上がる
ざわつきもすべて・・ツナには初めての体験、だった。
たとえそれが羞恥や苦痛でも――あるいはこの身を焦がす悦楽の波であっても
ツナはディーノが与えるすべてを受け入れる決意をした。
かっこよくて、綺麗で、憧れの先輩である彼が
こんな何も誇れるもののない自分を――欲しいと言ってくれた。
何よりそれが、嬉しかった。
――愛しているなんて言えない。
ツナは、ディーノの大きな背中を両手で抱きしめ
身体を密着させた。
彼が入り込めば、入り込むほど恥ずかしい・・
――なのに繋がったところから湧き出る何かが自分を
根本から壊していく。
熱い、苦しい、痛い――キモチイイ。
彼が繋がったまま揺ら揺らと腰を揺さぶると、
挿入とは別の圧迫感と疼きがツナを襲った。
奥深くまで突かれ、上り詰めたかと思えば急に
引き抜かれ、身体全体が切なくなる。
「あ、あぁ・・ディーノさん・・」
果てるまで何度彼の名を呼んだか、ツナには見当もつかなかった。
混ざり合う互いの体温が自分を何もかも壊し、あるひとつの感覚だけが
嵐のように猛威を振るう。
「・・も、イきそ・・うです、――ディーノさ、ん・・」
「・・一緒にイこうな・・ツナ」
答えるディーノも限界が近いのか、ツナの腰に自身を深く押し付け
抉るようにそれを回した。
ツナが二人の間に白濁を撒き散らした瞬間、ディーノも微かに
腰を振るわせた。自身の奥になだれ込んだ奔流を感じながら・・
ツナは意識を手放した。