[ かわいい悪魔 ]
「今日は誰と遊んできたのですか?」
部屋に着くなり詰問されたのでツナは答えた。
「・・確かめてみます?」
引いた袖の下から覗いた手首に縛ったような跡が
あって、骸は笑った。この前半殺しにしたばかりの
風紀委員長に手をつけられたようだ。
小さな身体を抱きしめて、ひとつひとつ脱がしたら
絹のような肌が出てきて、骸はおもわずぺろりとその内股を
舐めた。
「・・んっ・・骸さん・・こそぐったい・・です」
鼻につく声が嬉しそうに応えるので、彼は全部脱いだ
足の間をつんつんと弾いて質問した。
「どうされたいんですか?」
立ち上がってきた先端も可愛いなんて、罪な身体だと男は
思う。弄ばれているウサギは、自分の醜態をしらない。
「・・いじって、ください」
「――こう?」
もっと、もっととウサギは歌う。触ってやると仰け反って
透明な密を垂らして自分を誘う。ひくついた後の穴に
指を一本、何の断りもなしに差し込んだら、洩れるような
吐息がきゅうとそれを締め上げた。
こんなに誘われると、待っている方が苦しい。
――最初に手を出したのは確か、自分からだったと思うのだけど・・
骸が苦笑すると、涙を浮かべた茶色の目がじっとこちらを
見ていた。彼の衝動を、懇願するように。
「・・御仕置きの途中でしたね」
すいません、と彼は蜜の滴る両足を持ち上げて、そっとそこに
自分を押し当てた。小一時間ほど前には他の男の一物を
飲み込んでいたその場所に、弾けそうなものを突き当てたら
抱いているのか遊んでいるのか自分を誤魔化しているのか
分からなくなった。
ウサギが自分を呼んでいる。甘えた形のない声で。
もっともっと深く、強く、いっそ壊してください、と。
「やだ・・骸さん・・そんな怖い顔して」
自分は笑っているつもりだったのに、驚いた彼は
揺すり始めた腰の動きを止めた。引き抜くと、腕の中からも
飛び立ってしまいそうな声だった。
「・・俺のこと、嫌いになりました?」
「まさか――」
ただちょっと、予想とはずれただけですよ、と彼は
答えるに留めた。どちらにせよ、こんなに嗜虐心と
独占欲を掻き立てられる生き物に出会えたのは初めて
だった。
捕まえたのは天使だと思っていたのに
全部剥いだら腕の中で生まれたのは無垢な悪魔だった。