『 彼が教えてくれたこと 』




「ツナ兄の一番愛してる人は・・レオン!」


衝撃的なランキング結果に(ほっとした部分もあったけれど)
俺は衝撃のあまり思考が停滞したし、獄寺君は(他のショックも合間って)石化した。
そうなのか、と笑った山本は全然目が笑っていなかった。

「自分の気持ちっていうのは、案外分からないものだからな」
 そう言うリボーンの横顔はすでに一歳児のそれではない。

「とんだ伏兵に負けた」と涙の海に沈んだハルも、
「そう恋なんて唐突に始まるものよ」とリボーンに色目を向けたビアンキも
フゥ太のランキング結果を完全に信じてしまっている。



・・そうなの?俺ってレオンのことが一番好きだったの?
自分で自分が分からないーっ!



――と、いう夢を見た。実は昨日も見た。
フゥ太が俺の家に来て、あの衝撃的なランキング結果を告げてからずっと・・
俺はそんな夢ばかり見ている。悪夢じゃないとは思うんだけどな。
 それだけ、印象的なことだったということだろうか?


起き上がって窓際を見やると、特製の羽根布団が敷かれた
丸いソファー(レオン専用)の上で彼は丸くなって眠っていた。
俺の視線に気づいたのか、彼は金色の目をぱちくりと開けた。
不思議そうに彼も俺の方を見ている。


「・・ごめんね?起こしちゃったよね・・」


 分からないーっ!と絶叫してベッドから飛び出せば
さすがのレオンも目を覚ましてしまうだろう。
おかしな夢を見るようになってしまったからか
俺はあれからレオンのことが気になって仕方が無い。


 時計は午前三時を指していた。また起床するには早い。
でもまたあの夢を見てしまうのではないかと思うと
動悸が激しくなって寝床につけない。
 クマのできた両目を擦ると、その様子を見ていたレオンが
むくむくと何かに変化した。
木製のアンティークのオルゴールみたいだった。
蓋には金色の宝石がついていて、全体を緑の葉が覆うように
浮き彫りが施されたそれは使い込まれた色合いながらとても美しい一品だった。



 その横から突き出した針金を何回か巻くと
それが巻き戻されるように回りながら
美しいメロディーが箱から流れた。
綺麗でどこか切なくて、優しい・・温かい気持ちになれる曲だった。
それを聴いている間に俺は眠ってしまった。夢ひとつ見なかった。
 


それから俺は、レオンがリボーンの相棒になる前は
名の知れた楽団の指揮者だったことを知った。
数々のコンクールの賞を総なめにし、突如として姿を消してから一年後
彼は伝説のヒットマンの相棒になっていた。なかなか波乱万丈の人生だ。
 あのとき彼が弾いてくれた曲は、彼の故郷の子守唄だったらしい。
(俺はそれをリボーンから聞いた)


 その曲が何だかとても懐かしくて泣きたいような温かさに満ちているので
俺は、何度かレオンにお願いしてその曲を弾いてもらった。
 それからあの夢は一度も見なくなったけれど
例の占い結果に対して俺は少しだけ感謝した。



夢が正夢であるのを知るのはもっとずっと先のことだった。