一緒にお風呂に入りませんか、と言ったのはツナだった。





[ てんごく ]





「や・・だ、ディーノさん・・どこ・・洗ってるんですか!」


 泡を指の腹に乗せて、ほぐれた内部をかき回してやると、
薄紅色の胸もとの飾りがつん、と立った。こういうところだけ
見てると、ほんとに女の子みたいだな・・って錯覚する。
 その細くて白い太腿の間にある小さな一物は完全に男のそれだけど、
俺が必死に隠してる欲望とは大きさも色も、吐き出す蜜さえ異なる気が
して、そっとその先端を弾いてみたら・・泡風呂の下でそれがつん、と
弾けた。ちょっといじめ過ぎたみたいだった。


「・・やっ・・あっ――ぁ・・ディーノさんのばかっ・・!」
 お湯の中に出しちゃったじゃないですか、と真っ赤な頬がぷんぷんと
怒るので、申し訳なくて俺は薄茶の髪が張り付く額にキスを落とした。
「・・ツナの中に出すなら、いい?」
 お湯なんて後から全部抜いて、愛も行為の後も綺麗に洗い流してやるから
もう少しだけ――大理石の箱舟で繋がる愛を、味わいたいんだ。
白い泡の間でじゃなくて・・お前に、溶けてみたいんだけど?


「んっ・・だめですってばっ・・まだ――」
 一ヶ月前に約束したディナーも食べてないし、真っ白なシーツは
皺ひとつないままだし、何より俺からの誕生日プレゼントを貰って
ないと、小さくいやいやと頸を振るのは、愛嬌。


「このままじゃ・・出られないだろ?」
 中に入れた指で一番いいところを押し上げたら、声にならない悲鳴が
喉を抜けた。その勢いで人差し指を締め上げられて、思わず苦笑する。


――今度は俺を、いかせてくれよ・・?


 ディーノさんのばか・・と小さく喘いだ声に聞こえない振りをして
俺は大きく育った息子を、彼の尻の間にあてがった。
 それが自ら腰を振るようになるまで入れてから何分も経たなかったけれど。


 男の欲望を受け入れて踊る華奢な肋骨に泡を塗りたくったら、天国の入り口
なんて存外どこにでも開いている気が、した。