そう十代目・・もっと足を開いて。
求められるがままにする。そうでないと痛い思いを刻まれた後、
獄寺はさめざめと泣き出すのだ。
ツナは泣きたいのは自分なのか、逃げたいのは自分からなのか分からなくなった。
――ねぇ十代目、俺の家に来ませんか?
狭いけど綺麗にしてあるんですよ。
よかったら十代目の大好きなナポリタンも作ります。
そう優しく説かれたのが十日前。
はじめて彼の部屋を訪れてから、一歩も外を出ていない。
見動きが取れないのだ。
出来立てのナポリタンとオレンジジュースを飲んでから
ツナは意識を失った。どちらに何が仕込まれていたのか確かめる術も無い。
眼を開けたときツナの首と手首には銀の輪がついていた。
その端には鎖が繋がりベッドの先に連結している。
――トイレに行きたいときは遠慮なく仰ってくださいね。
獄寺はわらう。
「・・獄寺君・・どうして?」
信じられなかった。どうしてこんな・・。
なぜ自分は衣服を剥ぎ取られているのだろう。
体の奥から湧き立つ禍々しい欲情はなんだろう。
まるで自分が自分でないような。
――効いてきました?
何が?
ツナが快楽に身をよじると足の間で小さな性器が主張していた。
二次性徴もまだなのか初々しい勃起だ。
初めてなのかもしれない。獄寺は嬉しそうにそれを両手で包んだ。
孵化させるように。
「や・・だ、獄寺君」
離して。服を着せて。ここから帰して、お願い。
涙を流すツナを無視して、獄寺はツナを口に含んで
大事そうに愛撫した。初めて頂く十代目だ、心から味わいたい。
「・・んぁ・・っ、獄寺君っ・・やだ・・!」
涙が精液と一緒に溢れた。獄寺は出てくるものを全部飲む。
ツナの嬌声は掠れていく。恥辱が、悦楽に変わった。
「やっ・・・ああん・・っ!」
わき腹が震えて射精する。
ツナの精液を顔からかぶった獄寺はそれを手で拭うとぺろりと舐めた。
楽園にいるような微笑だった。
「十代目のは・・薄くて甘いですね」
感想など聞きたくなくて、ツナは頸を振った。
痛い、怖い、離れたい・・なのに気持ちいい。
矛盾に壊れてしまいそうだ。
――今度はこちらを試させてくださいね。
獄寺をそう言うとツナの大腿を開いた。
性器の奥の赤い入り口をまさぐる。
指を入れると、ツナがのけぞった。
「すいません、痛かったですね」
獄寺は指を引き抜くとテーブルにあった生クリームをひとすくい
それにつけた。デザートに出したプリンにのっていたものだった。
「や・・だ、獄寺君。やめて」
「大丈夫。優しくします」
――初めてでしょう?
獄寺はあくまで笑顔だった。
自分の声が届かないことにツナは絶望した。
投げやりになった体に、ダイレクトに快感が響いた。
生クリームで梳かされてく内部は、彼の指に敏感に反応した。
「・・やぁっ・・ん・・あぁっ・・!」
――ここがいいのでしょう?
探り当てられた前立腺に、ツナは何度か射精した。
刺激が強すぎたためだ。ベッドに横たわると
首を傾けたツナの瞳から涙が零れた。
獄寺は申し訳なさそうにツナの髪を撫でている。
「どうして――こんな」
届かない問いだった。彼は瞳を曇らせて言う。
「・・すいません、出すぎたことをしたと思っています。
でも・・あなたがいなければ――狂ってしまいそうで」
もう――こわれているよ。
――そして、自分も。
ツナはゆっくりと眼を閉じた。
彼が足を開いて固い何かを自分に押し当てている。
大腿の奥が広げられ、浸食されていく――かちかちになった彼の
性器だ、自分とは比べ物にならないほど大きい。
「や・・痛いよ、獄寺君」
抵抗する体力もなかった。先端が入り込む、続いて竿が根元まで。
圧迫されて苦しいのに――擦れ合う粘膜は溶けてしまいそうだ。
ああ、もっと何も考えられなくなるくらい犯されれば
痛みも悲しみも消えてしまうだろうか。
――十代目・・もう少し腰を浮かせて。
熱のこもった声が白い寝室に木霊する。
先端が当たる。気持ちいい。おかしい。壊れてしまいそう。
重なった鎖がじゃらりと交わり音を立てる。逃げられない。逃げたくない。
なぜならもう、自分の残骸を繋ぎとめてくれるのは彼の体しかないのだ。
「・・やぁん・・んっ、あっ――」
「俺はあなたを一生離しません・・十代目」
腹の奥で射精感を味わいながらツナは、深い愛の淵に沈み
先端から蜜を吐き出した。
微笑みの底にあったのは鎖と愛に繋がれる絶望だった。
『 繋がれて 』