抱きしめられれば、時間が消えて
理性とか愛情とか現実とか、もうどうでもよくなって
息と息が交じり合う刹那に
永遠に在りたい、とさえ思った
『 愛河 2 −reality− 』
「ん・・獄寺くんっ」
生暖かい塊が、意思を持ったかのように口腔内を蹂躙する。
膝が震えて腰から落ちそうになったツナを支えて、
獄寺はベッドに押し倒した。
「ふぁっ・・獄寺く・・」
舌と舌が絡みあい、どちらのものとも言えない唾液が
口の端から零れ落ちる。
獄寺はさっき着せたばかりのバスローブを剥ぎ、
まだ湿り気の残るツナの肌に舌を這わせた。
「獄寺くんっ・・もう・・」
度重なる行為でツナの体は鋭敏になっていた。
それは下着を持ち上げるように主張するツナ自身が物語っている。
「手で抜いてあげましょうか、それとも・・口でして欲しいですか?」
獄寺が猛ったツナ自身を躊躇なく掴むと、
それだけでツナの体が跳ねた。
「あっ・・口で・・してほしい」
ツナはうわ言のように呟いた。
この「お願い」に羞恥を感じなくなるほど、
ツナの体は獄寺に、刷り込まれてしまっている。
「おねだり、上手になりましたね」
微かに笑いながら獄寺は、ツナの先端をなぞるように舐め上げる。
「やっ・・もう、でちゃうようっ!」
「一杯出てますよ・・ほら、こんなに溢れてる」
先走りで光る先端を大きな手で包み込むように弄ると、
たまらなくなった
ようにツナは腰を動かした。
「もうだめっ・・!獄寺君、出させて・・お願い」
涙目で叫んだツナをあやす様に口付け、
獄寺はツナの先端を躊躇なく口腔に入れる。
そのはずみでツナは達し、精液が勢いよく獄寺の喉に当たった。
ごくん、と獄寺が喉を鳴らすと、力尽きたツナは
両足を開いたままベッドに沈み込んだ。
夕日に白い大腿がぽっかりと浮かび上がる――精を出しきった先端と、
さんざん慣らされた秘所が赤く染まる様は扇情的で、
獄寺は滾る欲望を抑えるかのように生唾を飲み込んだ。
「綺麗です・・10代目」
どんなに辱めを受けても、ツナには穢れというものがない。
涙を浮かべながら自分を受け入れるツナはあくまでも――純真で、純朴だ。
行為に慣れても、その反応は処女のそれと変わらないくらい鋭敏で、
それが逆に嗜虐心や征服欲を煽る。
ツナが獄寺に刷り込まれる以上に、獄寺はツナに執着し
――その虜になっていた。
「10代目・・俺――」
言いかけた言葉を自ら封じ込めるかのように、
獄寺は熱く猛った自身をツナの後口に押し当てる。
「あっ・・獄寺君っ・・熱いよぉ」
「10代目・・力、抜いてください」
僅かに抵抗を見せた後口を、侵すようにこじ開けると、
切なそうにツナが喘いだ。
太くて硬くて熱いものが自分の中を蹂躙する・・
一瞬の恐怖の後、溢れるように訪れる快楽にツナは身を任せる。
「ここが、いいんでしょう?」
「やだ・・んっ」
獄寺自身がツナの最奥を刺激すると、
呼応するかのように華奢な体が跳ねた。
獄寺はツナの腰を両手で支えると、
一度根元まで挿れた自身を抜き差しする。
繋がったところが、卑猥な音を立てながら擦り合い、
ツナは悲鳴に近い嬌声を上げた。
既に絶頂が近いのだろう。
獄寺は朱に染まる背筋を抱きしめ、唇で愛撫の後を残した。
とうに快楽の淵に溺れて、意識を手放している愛しい人を見下ろしながら。
「10代目・・好きです」
自身の精と共に、ツナの中に吐き出した言葉は・・
抗いようのない熱情と、行き場の無い哀しみに滲んで行った。